ブラック企業の特徴や見分け方とは？あなたの会社は大丈夫ですか？

入社前の説明と現実のギャップに悩んでいる社会人は多いものです。

残業は月20時間以内と説明されたのに、実際は毎日深夜まで。休日出勤も頻繁に求められ、心身ともに限界を感じている…そんな人も多くいます。

ブラック企業に入ってしまったけど辞めたいという悩みは非常に多いです。

この記事では、ブラック企業の特徴と見極め方、対処法について具体的に解説します。

ブラック企業と距離を置き、健康で健全な仕事生活を送るための助けとなるので、参考にしてみてください。

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そもそもブラック企業とは？

昨今、ブラック企業という言葉がメディアでも頻繁に取り上げられます。一般的には、従業員の権利を軽くみて、劣悪な労働環境を強いる企業をいう言葉です。

働く人の心身を疲弊させ、時には命さえも脅かすブラック企業の存在は、社会全体の大きな課題となっています。

最近では若者を中心に、就職活動の段階でブラック企業を避けようとする動きも広がっています。会社選びの重要な判断材料として、企業の労働環境への関心が高まっているのです。

国が定めるブラック企業の定義とは

「ブラック企業」という言葉は、一般的に使われるようになってきましたが、国によって正式に定義された用語ではありません。しかし、厚生労働省は「若者の使い捨てが疑われる企業等」という表現を用いて、ブラック企業の特徴を示しています。

どの特徴も、ブラック企業のイメージに近いものではないでしょうか。なお「過度の選別」とは、会社が必要ないと判断した従業員に対し、左遷や社内いじめで退職に追い込もうとする行為を指します。

ホワイト企業との差

ブラック企業の対極にあるのが、ホワイト企業です。

ホワイト企業は従業員の働きやすさを重視し、適切な労働環境を整えています。具体的には、残業時間の管理が徹底されており、有給休暇の取得もしやすいです。また、従業員の意見を尊重し、ハラスメント対策にも力を入れています。

一方、ブラック企業では、これらの要素が欠けているか、不十分である場合が多いです。従業員の権利よりも会社の利益を優先する姿勢が、ブラック企業とホワイト企業の大きな違いといえます。

ブラック企業の危険性

従業員の権利を軽視し、違法行為を繰り返すブラック企業の存在は、社会全体に深刻な影響を及ぼしています。

ブラック企業の問題は、個人の問題を超えて、企業の持続可能性や経済の健全な発展を脅かす重大な社会課題となっています。

ブラック企業のなにがだめなのか？

ブラック企業のだめなところは、一言でいえば、従業員の人生を破壊してしまうことです。

月80時間を超える残業による過労で、若くして命を落とす人もいます。パワハラやセクハラによって精神的な健康を損ない、うつ病や適応障害を発症する人も後を絶ちません。

残業代が支払われないために、生活が困窮する従業員も多くいます。さらに、休暇が取れない、私生活を犠牲にせざるを得ないといった状況は、家族との関係も壊しかねません。

従業員の権利と健全な生活を踏みにじるブラック企業の存在は、個人の幸せな生活を根本から脅かしているのです。

ブラック企業診断、判断ポイント

自分の勤める会社がブラック企業かどうか、見極めるポイントがいくつかあります。

従業員を大切にしない企業文化は、様々な形で表れるものです。自分の職場環境を客観的に見つめ直し、ブラック企業ではないかを見極めていきましょう。

長時間労働

休憩時間が短い、定時で帰れない、休日出勤が当たり前。このような状況に心当たりがある人は多いでしょう。長時間労働は、働く人の心と体をむしばむ大きな問題です。

毎日遅くまで職場に残り、休日も仕事から解放されない生活が続くと、深刻な健康被害に発展する危険性があります。家族や友人との時間も奪われ、人生の質は著しく低下します。

では具体的に、どの程度の長時間労働であればブラック企業とみなすべきでしょうか。

残業規制を超える場合はブラック企業

労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働は残業とされ、上限が定められています。2019年4月から施行された働き方改革関連法では、残業時間の上限は原則として月45時間、年360時間と定められました。特別な場合でも年720時間を超えてはいけません。

過度な残業は従業員の健康を害するだけでなく、仕事の効率も下げてしまいます。自分の勤務時間を確認し、常に規定を超える残業をしているようであれば、注意が必要です。

残業代未払い

残業したにもかかわらず、残業代が支払われない経験のある人は珍しくありません。ブラック企業では、適切な残業代が支払われていないことが大半です。

残業代未払いは従業員の生活を圧迫するだけでなく、モチベーションの低下にもつながります。また、残業代の支払いを明確に拒否しないとしても、残業代を請求しにくい雰囲気を作り出している職場もブラック企業に近いでしょう。

給与の未払いは違法

そもそも残業代などの給与の未払いは、明らかな法律違反です。労働基準法では給与の支払い義務について以下のように定めています。

第二十四条　賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)

引用元：労働基準法｜e-Gov 法令検索

また、時間外労働に対しては通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。深夜労働や休日労働の場合は、さらに高い割増率が適用されます。

第三十七条　使用者が(略)労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、(略)二割五分以上(略)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。(後略)

引用元：労働基準法｜e-Gov 法令検索

これらの規定にもかかわらず、残業代を支払わないのは違法です。給与明細をよく確認し、実際の労働時間と支払われた給与が合致しているか、定期的にチェックすることが大切です。

有給・休暇取得の拒否

休みを取らせてくれない会社は要注意です。有給休暇は働く人の大切な権利であるにもかかわらず、様々な言い訳をつけて休ませないのはブラック企業の特徴です。

また、休暇を取ると周りから白い目で見られたり、いやな雰囲気になったりする職場も問題です。休暇を取得しづらい環境を意図的に作り、従業員に心理的なプレッシャーを与えてくる会社は労働基準法に違反している可能性があります。

有給取得は労働者の権利

有給休暇の取得は労働者の権利であり、会社はその取得を拒否することはできません。労働基準法では、6ヶ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、最低10日の有給休暇を与えることが義務付けられています。

第三十九条　使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(後略)

引用元：労働基準法｜e-Gov 法令検索

さらに、2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、そのうち5日については、使用者が取得時季を指定して取得させることが義務化されました。

したがって、有給休暇の取得を妨げる行為は、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、労働基準法違反となる可能性が高いです。

ハラスメントの横行

いじめやいやがらせが日常的に起きている職場は、典型的なブラック企業の特徴を持っています。

2020年からは、従業員をハラスメントから守る対策を取ることが法律で義務付けられました。しかし、相談窓口を作っているだけで実際には機能していなかったり、対策が表面的なものだけだったりする会社も多くあります。

具体的にどのようなハラスメントが問題になりやすいか、見てみましょう。

セクハラやパワハラはブラック企業の判断材料の1つ

次のような行為や状況が見られる会社は要注意です。

このようなハラスメントが放置される職場では、従業員の心と体の健康が危険にさらされています。一見些細に見える嫌がらせでも、毎日続くことで大きな精神的ダメージとなります。

ハラスメントを見過ごす会社は、従業員の人権や尊厳を軽視する典型的なブラック企業と言えるでしょう。

意見を言えない雰囲気

正直な意見や新しい提案を出しづらい雰囲気を感じるときは、ブラック企業の兆候かもしれません。特に「上司の言うことには逆らえない」「今までのやり方を変えてはいけない」という空気が漂う会社は危険信号です。

建設的な意見交換ができない環境では、業務改善も進まず、従業員のモチベーションも下がっていきます。また、問題提起をした人が孤立したり、居づらい思いをしたりする可能性もあります。

トップが絶対！の企業はブラックな可能性も

特に「トップの言うことは絶対」という雰囲気が蔓延している企業は、ブラックである可能性が高いです。

むしろ役員たちが、トップの主張を助長するような発言で取り入ろうとすることもあり、会社はブラックな環境になりやすいです。

従業員の間には「どうせ言っても無駄だろう」という意識が芽生えてしまうので、問題点の改善提案や報連相も少なくなり、最後には退職者が多くなってしまいがちです。

トップが絶対的な権限を持ついわゆるワンマン会社は、トップ次第でブラック企業にもホワイト企業にもなりやすいので注意が必要です。

離職率・休職率が高い

社員がすぐに辞めていく、メンタル不調での休職者が多い、といった状況は危険です。特に以下のような状況がないか注意してください。

これらに該当する会社に勤めているなら、早めの対策が必要になります。人が定着しない職場には、必ず何らかの問題が潜んでいるものです。

不当解雇や退職勧奨も

不当解雇や退職勧奨がみられる会社は、ブラック企業である可能性が非常に高いです。

不当解雇とは、法律に定められた諸規定を守らず一方的に従業員を解雇する行為です。また退職勧奨では、会社が辞めてほしいと考えた従業員に対し、言葉での説得や左遷・冷遇などを通じ退職を促します。

不当解雇や退職勧奨により、会社の離職率や休職率はますます高くなります。あなたの同僚が次々と辞めたり、メンタルを崩して休んでしまうことが多い場合は、会社がブラックではないか疑ってみましょう。

ブラック企業を見抜くポイント4選

就職活動や転職の際に、企業選びで迷う人は多いものです。特に近年は、ブラック企業への関心が高まり、事前に見極めたいという声をよく耳にします。

企業の本質は会社説明会や面接だけでは見抜きにくいですが、いくつかのポイントに注目することで、ブラック企業の可能性を事前にチェックすることができます。

ここでは、ブラック企業を見抜くための4つの重要なポイントについて、詳しく解説していきます。

労働時間

労働時間は、ブラック企業を見抜く上で最も重要なポイントの1つです。求人情報や企業説明会で示される労働時間と、実際の労働時間に大きな乖離がないか注意深く観察しましょう。

また「みなし労働時間制」を不適切に運用し、実際の労働時間がみなし時間からかけ離れている企業もあります。

入社前に、平均的な退社時間や休日の過ごし方について、現役社員に直接聞いてみるとよいでしょう。曖昧な回答しか得られない場合は、隠された問題があるかもしれません。

会社の所在地が近いのであれば、遅い時間に会社を外から見て様子を伺うのも一案です。会社の窓からずっと明かりが漏れていたり、大勢の人が残業している様子が見えるときには、ブラック企業である可能性が高まります。

給与体系

給与体系の不透明さや不合理さも、ブラック企業を見抜くポイントです。まず、基本給と各種手当の内訳がしっかり示されているか確認しましょう。

また、昇給や賞与の基準が曖昧だったり、実績に見合わない低水準だったりする企業も注意が必要です。求人情報と実際の給与に大きな差がある可能性もあるので、面接の段階で給与に関する具体的な質問をし、納得性の高い回答が得られない場合は警戒する必要があります。

ブラック企業は様々な手段を用いて、従業員を安く使い倒そうと画策します。給与体系に不審な点があるときは、ブラック企業とみなして入社を避けたほうがよいでしょう。

求人票やHPに書かれがちなフレーズ

求人票や企業のホームページに記載されている文言からも、ブラック企業の兆候を読み取ることができます。

「体力に自信のある方」「根性のある方」といった表現は、上下関係が過度に厳しく、過酷な労働環境の会社である可能性があります。

「ノルマなし」と謳いながら、実際には厳しい「目標」が課される場合もあります。

さらに「未経験者歓迎」という記載には、人を選んでいては採用できないブラックな環境が背後にあるかもしれません。このような求人には、教育体制がしっかり整っているかどうかを確認すべきです。

求人情報を鵜呑みにせず、具体的な労働条件や職場環境について詳しく質問し、ブラック企業を見抜きましょう。

社員の見た目、印象

企業訪問や面接時に、実際に働いている社員の様子を観察することも、ブラック企業を見抜く重要なポイントです。

特に、疲れている社員が多い場合は、過酷な労働環境なのかもしれません。社員同士のコミュニケーションが少なく、ピリピリとした雰囲気がある職場も好ましくありません。

面接官の態度も重要な判断材料です。高圧的な態度をとったり、質問に対して適当で不誠実な回答をしてくるときは、ブラック企業である危険性が高くなります。

また、過度に厳しい服装規定があったり、逆に社員の身だしなみが乱れている企業も問題があるかもしれません。社員の見た目や印象に違和感を覚えたら、ブラック企業ではないか疑ってみてください。

ブラック企業だった場合の対処方法

自分の勤める会社がブラック企業だと気づいたとき、多くの人が途方に暮れます。

しかし、諦めてしまう必要はありません。外部への相談から退職まで、状況に応じた選択肢があります。

大切なのは、一人で抱え込まないこと。

専門家に相談したり、信頼できる人に話を聞いてもらったりすることから始めましょう。また、証拠となる資料を集めておくことも重要です。労働時間や給与に関する記録、ハラスメントの証拠など、できる限り記録を残しておきましょう。

ここでは、とりうる選択肢について説明していきます。

労基にかけこみ改善を促す

ブラック企業だと判断した場合、最初に検討すべき対処方法は、労働基準監督署（労基）に相談することです。

違法な長時間労働や残業代未払いなどの問題がある場合、労基に申告することで、会社に対して改善指導が行われる可能性があります。

申告は匿名でも可能ですが、実名で具体的な証拠を提示できると効果的です。労働時間や給与に関する記録を日頃からつけておくとよいでしょう。できれば同僚と一緒に申告すると、より深刻さが伝わりやすくなります。

ただし、会社からの報復の恐れがあるなど、実際に労基にかけこむのは心理的に抵抗感が強いかもしれません。

我慢して続ける

ときと場合によっては、ブラック企業でも一時的に我慢して働き続けるのも選択肢の1つです。

ただし、健康を害するリスクが高いため、長期的には望ましくありません。我慢して続ける場合は、必ず期限を決めることが大切です。

もし途中で心身に異常を感じた場合には、速やかに次の行動に移ってください。

さっさとやめる

ブラック企業だと確信した場合、最も効果的な対処法は「さっさとやめる」ことです。

退職を決意したら、労働契約書や就業規則を確認し、適切な退職手続きを踏むことが大切です。退職理由を会社に明確に伝え、しっかり引き継ぎを行うことで、円満退社を目指しましょう。

しかし、ブラック企業の場合、退職を申し出ても様々な妨害を受けることがあります。

このような場合には、退職代行サービスの利用も1つの選択肢です。

退職代行サービスは、専門家があなたに代わって退職交渉を行い、スムーズな退職をサポートします。法的知識を持つ専門家が介入することで、不当な要求を防ぎ、あなたの権利を守ることができます。

特に、パワハラや違法行為が横行するブラック企業では、退職交渉にともなう精神的負担を軽減できる点で、退職代行サービスは非常に有効です。

無料相談ができるサービスも多いので、迷ったらまずは問い合わせをしてみるとよいでしょう。

ブラック企業はすぐにやめよう！(まとめ)

ブラック企業で働き続けることは、あなたの人生にとても大きなリスクをもたらします。心身の健康を損なうだけでなく、キャリア形成の機会も失われていきます。

あなたの職場の特徴を分析し、この記事に当てはまることが多ければ、労基や専門家へ急いで相談すべきです。

多くの場合、最善策は「すぐに退職」になります。

退職にあたって、精神的なつらさを感じるときや、会社から理不尽な要求がある場合には、退職代行サービスの利用も検討しましょう。

次の仕事を探す際には、この記事も参考に、ブラック企業の兆候を見極めてしっかり回避してください。一人で悩まず、早めの対策をとることが、あなた自身を守ることにつながります。

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編集部

この記事はツギノバ退職代行運営事務局が執筆、編集しました。※公開日時点の法律に基づいて執筆しています。