会社都合での退職で損をしないには？自己都合との違いやトラブル時の対応方法も解説！

Aさん

会社都合で退職することになったけれど、手続きの進め方や失業保険の受け取り方が分からない

Bさん

自己都合と何が違うの？損をしない方法を知りたい！

こう思う方もいるかもしれません。実は、会社都合退職の場合、自己都合退職と比べて優遇される制度が多いですが、正しい知識と手続きを知らないと損をする可能性があります。

この記事では、会社都合退職と自己都合退職の違い、退職後に活用できる制度やトラブル回避の方法について詳しく解説します。

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会社都合退職と自己都合退職とは？

会社都合退職と自己都合退職は、労働者が退職する理由によって分類され、適用される制度や待遇が異なります。会社都合退職は、企業の事情によって労働者が退職を余儀なくされるケースを指し、失業保険や退職金で優遇されることが一般的です。一方、自己都合退職は、労働者が自らの意思で退職するケースであり、失業保険の給付開始までの期間が長くなるなどの制限があります。

これらの違いを明確に把握することが、適切な手続きを進める上で重要です。自分の状況がどちらに該当するかを正確に判断し、必要な準備を整えましょう。

会社都合退職とは

会社都合退職とは、労働者の意思に反して、企業側の事情で退職を余儀なくされるケースを指します。

これらが該当します。この場合、労働者は自身の責任ではなく、会社側の経営的な問題や組織変更が原因で退職するため、失業保険などの制度において手厚い支援を受けられるのが特徴です。具体的には、会社都合退職では失業手当が早期に給付されるだけでなく、自己都合退職より給付日数も長くなる場合があります。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、労働者自身の意思で退職を申し出るケースを指します。

これらが該当し、個人的な理由が主な原因です。自己都合退職は、労働者の判断で行われるため、失業保険の給付開始が会社都合退職と比べて遅れたり、給付日数が短くなったりするなど、経済的なサポートが限定される傾向にあります。

自己都合退職か会社都合退職かをしっかり判断できるように、次の項目で会社都合退職のパターンを詳しく解説します。

会社都合退職になるパターン

会社都合退職にはいくつかのパターンが存在し、どの状況が該当するかを理解することが重要です。労働者が自ら辞める意思を示さず、企業側の事情によって退職を余儀なくされた場合に適用されます。

このようなケースが挙げられます。これらは、法律上「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として扱われることが多く、失業保険の給付などで優遇される対象となります。

特定受給資格者にあてはまる場合

特定受給資格者とは、会社側の都合によって離職を余儀なくされた労働者を指し、失業保険の給付条件が優遇される対象となります。具体的には、「倒産」や「解雇」による離職が主な例として挙げられます。

労働者が経済的な不安を抱えることなく、次の就職活動に専念できるよう、手厚いサポートが用意されています。

次の項目で、特定受給資格者に当てはまる状況をさらに詳しく解説します。

「倒産」等により離職した者

「倒産」による離職とは、企業の経営破綻や廃業が原因で、労働者が働く場を失う状況を指します。この場合、労働者は自分の意思に関係なく職を失うため、法律上「特定受給資格者」として扱われることが多いです。

1. 倒産（破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申し立て又は手形取引の停止等）に伴い離職した者
   
2. 事業所において大量雇用変動の場合（1 ヵ月に 30 人以上の離職を予定）の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の 3 分の 1 を超える者が離職したため離職した者
   
3. 事業所の廃止（事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。）に伴い離職した者
   
4. 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

引用元：特定需給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準-pdf

「解雇」等により離職した者

「解雇」による離職とは、企業側の判断や事情で労働契約を終了させる状況を指します。解雇には、業績悪化による人員削減（整理解雇）だけでなく、雇用契約締結時に提示されていた労働条件と大きく異なる場合や、上司や同僚からのセクハラや嫌がらせを受けて退職する場合も含まれます。

1. 解雇（自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。）により離職した者
2. 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
3. 賃金（退職手当を除く。）の額の 3分の 1を超える額が支払い期日までに支払われなかった月が引き続き2ヵ月以上となったこと 、 又は離職の直前 6 ヵ月の間に 3 月あったこと等により離職した者
4. 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて 85％未満に低下した（又は低下することとなった）ため離職した者（当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。）
5. 離職の直前 66ヵ月間のうちに 3 月連続して 45 時間、 1 月で 100 時間又は 2～6 月平均で月 80 時間を超える時間外労働がおこなわれたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
6. 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮をおこなっていないため離職した者
7. 期間の定めのある労働契約の更新によリ 3 年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
8. 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者（上記⑦に該当する者を除く。）
9. 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
10. 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者（従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。）
11. 事業所において使用者の責めに帰すべき事由によりおこなわれた休業が引き続き 33ヵ月以上となったことにより離職した者
12. 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

引用元：特定需給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準-pdf

このように、様々な形態がありますが、いずれの場合も労働者が自ら退職を希望したわけではないため、法律上は「特定受給資格者」に該当する可能性があります。

特定理由離職者にあてはまる場合

特定理由離職者とは、自己都合退職に見えるケースであっても、一定の条件を満たすことで「会社都合退職」として認められる労働者を指します。この区分は、労働者がやむを得ない事情により離職を選ばざるを得なかった際に適用されます。

有期雇用の契約更新がなかったことで離職した者

有期雇用の契約更新がなかった場合、労働者は「特定理由離職者」として扱われる可能性があります。

労働者は契約継続を希望していたが、企業側との合意が得られなかった、かつ、特定受給資格者の「解雇」の7、8に相当しない場合に限ります。

正当な理由のある自己都合により離職した者

正当な理由のある自己都合により離職した場合も、「特定理由離職者」として扱われることがあります。

会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職と自己都合退職は、労働者が会社を辞める理由によって異なる区分ですが、これらには重要な違いがあります。

会社都合退職は、企業の都合で労働者が退職を余儀なくされた場合に適用されるため、失業保険の受給開始が早く、給付期間も自己都合退職に比べて長く設定されることが一般的です。また、離職理由が会社の事情に起因するため、退職金の支給額や解雇予告手当などの条件も異なる場合があります。一方で、自己都合退職は労働者が自発的に退職を選択した場合に該当し、失業保険の受給には待機期間が設けられるなど、制限が多いのが特徴です。

失業手当の待機期間と給付日数

失業手当の待機期間と給付日数は、会社都合退職と自己都合退職で大きく異なります。会社都合退職の場合、待機期間は基本的に7日間と短く、その後すぐに支給対象期間が開始され、初回の支給日は約1ヶ月後です。また、給付日数も通常の自己都合退職に比べて長く設定されており、労働者が次の就職先を見つけるまでの経済的な安定が図られるよう配慮されています。一方、自己都合退職では、7日間の待機期間に加えて、2〜3ヶ月の給付制限期間が設けられます。このため、失業手当の受給開始までに時間がかかり、その間の収入が途絶えることとなります。さらに、給付日数も会社都合退職より短く設定されることが一般的で、長期的なサポートを期待するのは難しい傾向にあります。

退職金の支給額

退職金の支給額は、会社都合退職と自己都合退職で異なる場合があります。多くの企業では、就業規則や退職金規程において退職理由ごとに支給額が定められており、会社都合退職の場合には優遇措置が取られるケースが一般的です。

一方、自己都合退職の場合、退職金は通常の基準に従って支給されますが、会社都合退職と比較して支給額が少なくなる傾向があります。

解雇予告（手当）

解雇予告手当とは、企業が労働者を解雇する際に、労働基準法で定められた解雇予告期間を守らなかった場合に支払われる補償金です。法律では、企業は解雇を行う際に少なくとも30日前に通知する義務があります。この通知が守られない場合、30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

履歴書へ記載する退職理由

履歴書に退職理由を記載する際は、会社都合退職であれ自己都合退職であれ、事実と異なると経歴詐称に当たるため、注意が必要です。

会社都合退職の場合、理由が「倒産」「事業縮小によるリストラ」など企業の事情であることを簡潔に記載するとよいでしょう。

一方、自己都合退職の場合は、退職の理由を前向きな表現で伝える工夫が必要です。

このように、応募企業への興味や意欲を示す理由が好ましいです。

転職先の会社の受け取り方

転職先の会社が退職理由をどう受け取るかは、転職活動の成否に大きな影響を与えます。会社都合退職の場合、理由が「倒産」や「リストラ」といった企業側の事情での会社都合退職であれば大きな問題はありませんが、応募者自身の能力や勤務態度に問題があり「解雇」「退職勧奨」の場合は敬遠される可能性が高いでしょう。

中には、失業保険を受給するために自己都合退職を会社都合退職にして不正に受給する人もいるため、警戒されるかもしれません。

一方で、キャリアアップやキャリアチェンジが理由での自己都合退職であれば、企業へポジティブな印象を与えることができます。

会社都合退職の注意点

会社都合退職には、手厚い失業保険や退職金の優遇措置などのメリットがある一方で、離職票の記載内容や、有休休暇、退職届などの注意点があります。

退職後の経済的な不安を最小限にするためにもしっかりと理解して準備しておきましょう。

会社都合でも有給消化はできる

会社都合退職であっても、有給休暇の消化は法律で認められている労働者の権利です。企業がどのような理由で労働契約を終了させる場合でも、有給休暇の残日数を消化することが可能です。

また、退職日までに消化しきれない分は、買取の交渉をしてみるのも一選択肢です。ただし、買取に応じるか、またいくらで買い取ってくれるかは企業の判断になるため、慎重な交渉が必要です。

離職票の虚偽記載は違法

離職票は、労働者が失業保険を申請する際に必要となる重要な書類です。この書類には、退職理由が明確に記載される必要があり、記載内容に虚偽があると労働者が不利益を被る可能性があります。

このため、企業が離職票の内容を不正確に記載することは違法行為とみなされ、労働基準監督署や法的手段による対応が求められる場合があります。逆に、労働者のために、会社が自己都合退職を会社都合退職と記載した場合も同様に法律違反とされ、会社も連帯責任が問われます。

会社都合の場合は退職届は原則不要

会社都合退職の場合、労働者は原則として退職届を提出する必要はありません。会社都合退職とは、企業側の都合により労働者が退職を余儀なくされるケースであり、労働者自身が退職を申し出るわけではないためです。

しかしながら、会社都合退職者が出てしまうと、助成金や企業のブランディングに悪影響を及ぼすため、会社が退職届の提出を求めてくることがあります。

その際、退職届を提出してしまうと離職票に自己都合退職と記載されてしまい、失業保険の受給に不利益が生じます。

会社都合での退職を自己都合にされそうになったら？

会社都合退職を自己都合退職として処理されそうになる場合、労働者は明確にその意思に反対し、正当な権利を主張することが重要です。

意に沿わない場合は明確に断る

労働者が会社都合退職であるにもかかわらず、離職票に自己都合退職として記載されることを求められた場合、これに明確に反対する必要があります。企業がこのような要求をする背景には、会社都合退職として処理することで発生する助成金の不利や、解雇理由が公的記録に残ることを避けたいという事情があります。

自己都合退職への変更を要求された場合、ハローワークや労働基準監督署、または、弁護士に相談しましょう。

会社都合退職による会社側のデメリット

企業が会社都合退職を避けたがる理由として、会社都合退職が企業にとって様々なデメリットをもたらすことが挙げられます。助成金の受給条件を満たせなくなる場合や、企業イメージへの影響、さらには将来的な法的トラブルの可能性などがあります。

助成金等の受給条件を満たせなくなる

会社都合退職が発生すると、企業が受給している様々な助成金に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらの助成金の多くが、「6ヶ月以内に会社都合退職者がいない」ことを条件としているため、解雇やリストラが行われると受給できない可能性や助成率が下がることがあります。このため、企業は会社都合退職の扱いを避けたいと考える場合があります。

風評被害の恐れがある

会社都合退職が発生すると、企業の経営状態や労働環境に問題があるとの印象を外部に与える可能性があります。特に、大規模なリストラや解雇が行われた場合、「経営が不安定である」「従業員を大切にしない」といったネガティブな評価が広まりやすくなります。

このような悪評は、企業の採用活動や取引先との関係、株価に悪影響を及ぼすリスクがあり、信頼を失う原因となる場合があります。

あとで揉める危険性がある

執拗な退職勧奨があった場合や懲戒解雇など、会社都合退職を強引に進めた場合、労働者と企業の間で法的なトラブルに発展する可能性があります。

特に、解雇理由が曖昧であったり、不当解雇と判断される場合には、労働者が損害賠償を求める訴訟や退職無効の訴えを起こすこともあります。

そのため、不当解雇として訴えられないように会社側から自己都合退職にしてほしいと考える可能性があります。

退職時トラブルへの対応方法

退職時には、労働者と企業の間でトラブルが発生することがあります。特に、退職理由をめぐる食い違いや、解雇の正当性をめぐる問題は、法的な対立に発展する可能性もあります。

このような状況に備えるためには、適切な知識を持ち、迅速に対応することが重要です。

具体的には、自己都合退職として扱われた場合や、不当解雇を受けた場合にどのように対処すればよいのかを知ることが必要です。

自己都合で退職届を出したものの納得いかない場合

自己都合退職として退職届を出してしまった場合でも、その内容が実際の状況と異なる場合には、会社都合退職として認定される可能性があります。

自己都合退職の申告後でも、ハローワークで退職理由の異議申立てを行うことで、会社都合退職として変更できる可能性があります。

また、自分で対応するのが難しい場合は弁護士に相談してみましょう。

不当解雇された場合

不当解雇とは、法律で認められた正当な理由がないにもかかわらず、企業が労働者を解雇する行為を指します。この場合、労働者には解雇の撤回や、損害賠償を求める権利があります。

会社が取り合ってくれないような場合は弁護士に相談しましょう。その際、不当解雇と判断できる客観的な証拠があるとよいでしょう。

会社都合退職に関してよくある質問

会社都合退職については、失業保険の条件や転職活動への影響など、労働者が抱える疑問が多くあります。

これらの疑問や心配事を解消して、退職後のスムーズな生活設計やキャリア形成に役立てましょう。

転職活動で、会社都合退職は不利になる？

会社都合退職は、必ずしも転職活動で不利になるわけではありません。むしろ、理由が「倒産」や「事業縮小によるリストラ」である場合、応募者自身に非がないことが明確であり、採用担当者に理解されやすい傾向があります。

転職活動で、会社都合を自己都合と嘘をついても問題ない？

転職活動で会社都合退職を自己都合退職と偽ることは避けるべきです。理由としては、採用担当者が離職票や過去の職場の情報を確認すれば嘘がばれるため、隠し通せることはほとんどありません。虚偽の申告がばれると、内定取り消しや、入社後であれば懲戒解雇される可能性があります。

会社都合退職であっても、倒産や経営不振が理由であれば、面接で不利になることはないため、会社都合であることを正直に伝えましょう。

会社都合退職は、会社にとってもメリットがある？

会社都合退職が企業にとってもメリットになる場合があります。

このように、適切な会社都合退職は、企業にとってある程度のメリットをもたらす可能性があります。

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会社都合退職と自己都合退職は、労働者に与える影響が大きく異なるため、それぞれの違いを正確に理解することが重要です。会社都合退職の場合、失業保険や退職金の面で手厚い支援を受けられる一方で、適切な手続きを進める必要があります。

本記事では、会社都合退職と自己都合退職の違いや手続き、トラブル時の対応方法について詳しく解説しました。

退職後の生活やキャリア形成をスムーズに進めるためには、正確な情報に基づいて行動することが大切です。もし疑問点があれば、ハローワークや労働基準監督署、弁護士などの専門家に相談し、適切なサポートを受けることをお勧めします。

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編集部

この記事はツギノバ退職代行運営事務局が執筆、編集しました。※公開日時点の法律に基づいて執筆しています。