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退職後の給料が振り込まれない!諦めずに請求する方法と法的根拠を解説

taksaki
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退職後の給料未払い、あなたは諦めていませんか? あるいはこれから退職を考えていて、給与未払いの可能性を心配して踏み出せない方もいるでしょう。

しかし諦める必要はありません

労働基準法には退職後の給与支払いに関する明確な規定があり、給料が振り込まれないのは違法行為となります。つまり、あなたには正当な権利があるのです。

そこで本記事では、未払い給料の請求方法と法的根拠を解説します。

退職後の金銭的な不安を解消し、安心して次のステップに踏み出せるよう参考にしてください。

退職後の給料が振り込まれないのは違法

退職後に給料が振り込まれないのは会社の違法行為です。

退職後の賃金支払いについては、労働基準法第23条に明確な規定があります。

第二十三条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

引用:労働基準法( 昭和22年04月07日法律第49号) – 厚生労働省

したがって会社には、退職した労働者に対しても給料を支払う法的義務があります。

しかし実際に給料の未払いに直面すると、どう対応すべきか迷うものです。一人で悩まず、本記事も参考にしながら必要に応じ専門家を頼ることをおすすめします。

退職後の振り込まれない給料を請求するポイント

退職後の未払い給料を請求するポイントは下記の通りです。

POINT
  • 給料の支払い日を確認する
  • 未払い額を正確に算出する
  • みなし残業制でも残業代の請求はできる
  • 支払い状況や勤務実績の証拠収集
  • 時効の確認と早めの請求

請求の基礎となる重要な情報が多いので、それぞれ詳しく解説します。

給料の支払い日を確認する

未払い給料の請求を始める前に、まず正確な支払い日を確認しましょう。

会社が定めた支払い日を過ぎているかどうかで、未払いの判断が変わってくるからです。

確認方法としては、就業規則や労働契約書を見直すのが確実です。通常、毎月の給与日や退職時の精算日が明記されています。

もし手元に資料がない場合は、以前の給与明細を確認するか、同僚に聞くのも1つの手です。

未払い額を正確に算出する

未払い給料の請求を進める上で、正確な金額の算出は非常に重要です。

会社との交渉や法的手続きには、正確で具体的な数字が必須だからです。

まず給与明細や勤務記録を詳細に確認しましょう。基本給はもちろん、残業代や各種手当も忘れずにチェックします。

計算が複雑で自信がない場合は、弁護士などの専門家に依頼し正確な金額を算出してもらうことも可能です。

みなし残業制でも残業代の請求はできる

みなし残業制を採用している会社でも、残業代を請求できる可能性はあります

みなし残業制とは、一定時間の残業を見込んで給与に組み込む制度です。

実際の労働時間がみなし時間を超えている場合、その超過分の残業代を請求する権利があります。

ただし、これには詳細な労働時間の記録や複雑な計算が必要となるので注意してください。

支払い状況や勤務実績の証拠収集

未払い給料の請求を成功させるためには、証拠の収集が不可欠です。

具体的な証拠があれば、あなたの主張の信憑性が高まり、会社側も対応せざるを得なくなります。

収集すべき主な証拠には、給与明細、タイムカードのコピー、勤務シフト表、業務に関するメールのやり取りなどがあります。

これらの資料は、あなたの勤務実績と支払い状況を明確に示す重要な証拠です。

時効の確認と早めの請求

労働基準法の改正により、2020年4月以降の未払い給料の時効は3年となりました。つまり、3年を過ぎると請求権が消滅します。

新たな条文では時効5年とされていますが、経過措置として当面の間の時効は3年です。

この時効の存在があるので、早めの請求が重要です。退職後、時間が経つにつれて証拠の収集が難しくなったり、会社が倒産するなど状況が変わるリスクもあります。

退職後の給料が振り込まれない場合の請求方法

給料未払いの請求は、まずは会社に直接するのが基本です。

しかし素直に支払ってくれるとは限らないため、ここでは第三者機関への相談や申し立ての手段についても詳しく説明します。

あなたにとって最適な手段を探してみてください。

会社に直接問合せをする

退職後の給料が振り込まれない場合、まず会社への問い合わせから始めます。

メールやLINEなど文章で残る手段で連絡した上で、担当者に電話しその場で文章を読んでもらうとよいでしょう。

文章には給料未払いの事実と支払いを求める旨を明記します。その際、具体的な金額と根拠を示せればベストです。

また、会社からの返答もメールなどで返してもらうよう依頼し、後日トラブルに発展した際の証拠として保存します。

内容証明郵便で請求する

会社への直接の問い合わせで解決しない場合、内容証明郵便での請求が効果的です。

内容証明郵便とは郵便局のサービスの1つで、郵便物の差し出し日・内容・差出人・宛先を証明してもらえます。

これは訴訟でも証拠として通用する証明サービスですので、会社にプレッシャーをかけて支払いを促す効果が期待できます。

ただし内容証明郵便には決まった書式があり、書くべき内容にも法的知識が必要です。自身での作成が難しければ専門家へ依頼しましょう。

労働基準監督署に申し出る

会社との直接交渉が上手くいかない場合、労働基準監督署への申告もよい選択肢です。

なぜなら労働基準監督署は労働法違反を取り締まる行政機関であり、会社に対して強い指導力を持っているからです。

申告の際は、未払い給料の具体的な金額や計算根拠、これまでの会社とのやり取りなどを詳細に説明します。

労働基準監督署は、これらの情報を基に調査を行い、必要に応じて会社に是正勧告を出します。

ただし申告から解決までには時間がかかる可能性があるので、未払い給料の回収を急ぎたい場合は別の手段を並行して進めるとよいでしょう。

労働審判を申し立てる

直接交渉が進まない場合は、比較的迅速な裁判所での手続きとして労働審判があります。

労働審判は、通常3回以内の審理で和解か審判が下される紛争解決制度で、近年の実績では申立てから3ヶ月以内に終了した割合が66.9%です。

労働審判では専門家である労働審判員とともに協議をし、第三者の立場から公平な目線でのアドバイスを受けられます。

直接交渉には応じない会社であっても、裁判所に出向いての協議となれば話し合いの進展が期待できるでしょう。

ただし申立書の作成や証拠の提出など、法的な知識と準備が必要となるため、必要に応じて専門家へ相談してください。

民事訴訟を起こす

他の方法で解決できない場合、最後の手段として民事訴訟があります。

裁判所に訴えを起こし法的な判断を求める方法で、より確実に給料を受け取るには有効ですが、多くの場合1年以上の期間と高めのコストがかかります。

訴訟では未払い給料の具体的な金額や計算根拠、証拠を提出し、これまでの詳細経緯などをお互いに主張しあいます。

勝訴すれば、強制執行という手続きにより未払い給料を回収できる可能性が高まります。

訴訟手続きは複雑で法律の専門知識が必要なため、弁護士への依頼が一般的です。

退職後の給料が振り込まれない場合のよくある問題

次に給料未払いでよく生じる問題を見ていきましょう。

POINT
  • 手渡しでの支払い指示
  • 少額の未払いで請求が面倒
  • 数年経過後の請求
  • 会社の倒産

それぞれ特有の注意点があるので解説していきます。

手渡しでの支払い指示

退職後に会社から「給料は手渡しで支払う」と言われる問題があります。

手渡し自体は違法ではなく、労働基準法でも手渡しでの支払いが認められています

ただし注意すべきは、手渡しを口実に支払いを遅らせたり、約束の日時に現れなかったりする悪質なケースです。

また現金を直接受け取ることで、後々のやり取りの証拠が残りにくくなる可能性もあります。

手渡しで支払いを受ける場合は、支払い日時と場所を明確に確認し、できれば文書で記録を残すようにしましょう。また、受け取り時には必ず領収書を発行してもらい、金額を確認することが重要です。

少額の未払いで請求が面倒

未払い給料の額が少額の場合、請求するのが面倒だと感じるかもしれません。しかし少額でもそれはあなたの正当な権利です。

少額だからこそ、会社側も比較的早く対応してくれる可能性もあるため、メールや電話で丁寧に問い合わせてみましょう。

また少額請求に向いている法的手続きとして、支払督促(しはらいとくそく)や少額訴訟という方法もあり、いずれもアドバイスを受ければ自身でも行える手続きです。

数年経過後の請求

退職後、数年経ってから未払い給料を請求したくなることもあるでしょう。

給料支払い義務が時効になっていなければ、請求できる可能性があります。

まずあなたが請求したい未払い給料が、2020年4月1日より前に支払期限を迎えたものか確認します。2020年4月1日より前の給料支払い義務は、遅くとも2022年4月1日には時効になっているので、残念ながら請求できません。

一方で、2020年4月1日以降に支払期限があるものは、支払期限から3年を経過するまで請求できます。また経過措置が終わったあとは支払期限から5年となります。

未払い給料の支払期限をそれぞれ確認し、計算してみてください。

会社の倒産

退職後に給料が振り込まれない理由の1つに、会社の倒産があります。

多くの場合、会社の資金繰りが悪化し手元に現金がない可能性が高く、未払い給料の回収は厳しいです。

会社の倒産といえば9割以上は破産を指します。

破産手続きにおいては一定の未払い給料は優先的に支払われるため、まずは会社の弁護士が開く説明会に参加しましょう。

また「未払賃金立替払制度」という国の制度を利用できる可能性もあります。

会社が倒産した場合の対応

会社が倒産した場合には、未払い給与を直接会社から支払わせるのは難しいでしょう。

倒産するということは、そもそも給与を支払えるだけの余力がなかったと考えられるからです。

したがって会社ではなく、国から代わりに給与の支払いを受けられる「未払賃金立替払制度」の利用を検討しましょう。

未払賃金立替払制度の活用

会社が倒産し給料が支払われない場合、未払賃金立替払制度が利用できるかもしれません。

利用要件は下記の通りです。

POINT
  • 会社が労災保険の適用事業の事業主であり、かつ1年以上事業をしている
  • 会社が「倒産」したとみなされる一定要件を満たしている
  • 倒産した日の6か月前から起算し2年の間に退職した
  • 倒産した日の翌日から2年以内に立替払請求をした

要件がやや複雑なので、利用を検討する際は、実施機関である独立行政法人労働者健康安全機構へ要件を満たしているか確認するとよいでしょう。

立替払いの対象となる給料と割合

未払賃金立替払制度の対象となる給料は下記の通りです。

POINT
  • 倒産した日の6か月前から起算し、立替払請求日の前日までに支払期日が到来している
  • 定期給与と退職金は含み、ボーナスは含まない
  • 総額が2万円未満は対象外

条件を満たした未払い給料に対し、目安としてその8割の額を受け取れます。ただし退職日における年齢によって上限が設けられているため、詳しくは実施機関へ問い合わせましょう。

退職後の給料が振り込まれない場合の相談先

給与未払いの相談先として3つご紹介します。

POINT
  • 弁護士
  • 労働基準監督署
  • 自治体

多くの場合は弁護士への相談のメリットが多いですが、公的機関への相談の選択肢も知っておくと柔軟に対応できるでしょう。

弁護士

弁護士への相談は非常に有効な選択肢です。

弁護士は労働法に精通しており、あなたの状況を法的な観点から分析し、最適な対処法を提案してくれます。未払い給料の複雑な計算も依頼可能です。

会社との交渉を代行してもらえば心理的な負担も軽減でき、会社側も弁護士からの交渉には応じやすい傾向があります。

必要に応じて労働審判や訴訟の手続きもスムーズに進められるでしょう。

ただし弁護士への相談には費用がかかる場合があり、交渉や訴訟となれば着手金や成功報酬としてそれなりのコストが必要です。

まずは無料相談に応じてくれる弁護士を探してみることをおすすめします。

労働基準監督署

労働基準監督署は労働者の権利を守るための行政機関であり、給料未払いのような労働問題の相談先として最適です。

労働基準監督署のメリットは無料で相談できることで、専門の職員が労働法に基づいてアドバイスをくれます。

また、必要に応じて会社に対する調査や指導も行ってくれるので、会社側の対応を促すことができます。

ただし労働基準監督署は中立的な立場であり、あなた側に立って動くわけではありません。また行政指導には強制力がないので、必ずしも会社が未払い給与の支払いに応じるとは限りません。

自治体

地方自治体も労働トラブルに関する相談窓口を設けています。

「総合労働相談コーナー」や「労働相談ホットライン」などの名称で運営されている無料相談窓口です。

またすでに会社と紛争状態にある場合は、労働局に「あっせん手続き」を申請し、あっせん員による紛争解決支援を受けられます。

ただし会社があっせんに応じる義務はなく、仮に応じても未払い給料を回収できるとは限らないことに注意しましょう。

弁護士に依頼するメリット

給与未払いについて弁護士に依頼するメリットは大きいです。

POINT
  • 法的なアドバイスを受けられる
  • 請求対応を代わりに行ってもらえる

ここでは代表的な上記2つのメリットを解説します。

法的なアドバイスを受けられる

弁護士に相談する最大のメリットは、専門的な法的アドバイスを受けられることです。

未払い給料の問題は労働法に深く関わるため、専門家である弁護士のアドバイスは非常に有益です。

例えば時効が迫っている場合は迅速な対応の必要性を説明し、具体的な請求方法をアドバイスしてくれるでしょう。

また、みなし残業制における残業代の請求可否や、退職金の計算方法なども、法律に基づいて正確に判断してくれます。

請求対応を代わりに行ってもらえる

請求対応の代行により、あなたの心理的・時間的負担を大幅に軽減できます。

弁護士は会社との交渉、内容証明郵便の作成・送付、労働審判や訴訟の手続きなど、請求に関するあらゆる対応を代行します。

効果的に交渉や手続きを進めてくれるため、未払い給料を回収できる可能性が高まるでしょう。

また会社側も弁護士の介入で問題の深刻さを認識し、真剣に対応する可能性が高くなり、スムーズな解決につながりやすいです。

退職後の給料が振り込まれない場合のよくある質問

最後に、給与未払いに関してよくある疑問を解説します。

POINT
  • 退職月の給料がいつもより少ない
  • 無断退職でも未払い給料は請求できるか
  • 自己都合退職でも未払い給料は請求できるか
  • 給料未払いを理由に退職したら会社都合にできるか
  • 労働基準監督署などに相談すると聞かれること

細かな点もありますが、それぞれ把握しておくと給与未払いの請求を進めやすくなるので、読んでみてください。

退職月の給料がいつもより少ない

退職月の給料は、通常月より少ない可能性があります。

例えば退職月の勤務日数が、給料締め日の関係などで通常月より少なければ、給料は日割りで支払われます。

また社会保険料が調整のため2か月分引かれたり、通勤手当の前払い分の払い戻しで少なくなることもあります。

計算根拠が分からない場合、まずは会社に問い合わせしてみましょう。

無断退職でも未払い給料は請求できるか

無断退職をした場合でも、未払い給料を請求する権利は失われません。

労働の対価として発生した給料の請求権は、退職の形態に関わらず有効です。

ただし無断退職は望ましい行為ではないので、会社側との関係が悪化し、未払い給料の請求がスムーズに進まないかもしれません。

無断退職により会社に損害を与えた場合、給料の支払いとは別の問題として損害賠償を請求される恐れもありますので、無断退職は避けた方がよいでしょう。

自己都合退職でも未払い給料は請求できるか

自己都合での退職であっても、未払い給料を請求できます。

退職の理由に関わらず、労働の対価として発生した給料の支払いを会社が拒否したり、減額したりすると違法行為になります。

しかし給料未払いをするような会社の場合、自己都合で退職する従業員に対し非常識的な対応をする可能性があるため、注意が必要です。

給料未払いを理由に退職したら会社都合にできるか

給料の未払いは労働契約上の重大な違反であり、これを理由に退職した場合は会社都合退職として扱われる可能性があります。

会社都合退職と認められると、失業保険の給付制限がなかったり、次の就職先での評価に影響しにくいなどメリットがあります。

ただし会社側が会社都合退職を認めないと、裁判所などでの判断を仰ぐ必要が生じ、時間を要するかもしれません。

労働基準監督署などに相談すると聞かれること

労働基準監督署などへの相談では様々な質問を受けます。

主な質問内容は下記のような項目です。

POINT
  • 勤務先の会社名などの基本情報
  • 雇用形態と労働条件
  • 入社日と退社日
  • 未払い給料の詳細
  • 会社とのトラブル内容

また、手元にある給与明細や雇用契約書などの証拠資料も持参しましょう。

まとめ

退職後の給与未払いは労働者の権利を脅かす深刻な問題ですが、本記事で解説したように、様々な解決手段が存在します。

会社との直接交渉から始まり、内容証明郵便の送付、労働基準監督署への相談、さらには労働審判や民事訴訟まで、状況に応じた対応が可能です。

重要なのは早めの行動と正確な情報・証拠収集です。必要に応じて弁護士などに法的アドバイスや交渉の代行などを依頼しましょう。

給与未払いの問題に直面しても、この記事を参考にすればあなたの権利を守れる可能性が高まるので、諦めずに行動してみてください。

記事監修者
ツギノバ退職代行運営事務局
ツギノバ退職代行運営事務局
編集部
この記事はツギノバ退職代行運営事務局が執筆、編集しました。※公開日時点の法律に基づいて執筆しています。
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